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どうすれば人の心を動かせるのか

☆松本健太郎 人は悪魔に熱狂する

いま私は、自分の障害について語る活動をしている。
そのイベントでは、いつも聴衆を集めるのに苦労するので
何か良い案がないかと思って、本書を手に取った。

障害という、健常者が感じえない日常の生きにくさを、
どう一般化して共感を得るかが肝だと思える。
ゼロイチ発想では難しく、成功例からヒントを得るのがよさそうだ。

特にロウソクの話は印象深かった。


情緒を刺激する商品は売れる

ガスや電気が登場するまでは、ロウソク
「周囲を明るくする機能」を提供する巨大産業だった。
ところが、ガス灯や電球が登場して、その地位を奪われる。
市場の大半を失い、宗教的儀式や災害などの緊急時にのみ
使われる存在になった。
しかし、90年代に入って欧米ではロウソクの市場が
急拡大する。
2016年のロウソクの年間消費量は70万トンを記録。
最も成長している産業の一つに数えられた。

何故ロウソクはそれほどまでに売れたのか?
理由は、「心が癒される」「部屋をくつろげる空間にする」
「独特な雰囲気を楽しめる」という情緒的な価値が
見直されたからだ。

物には機能的価値と、情緒的価値がある。
周囲を明るくする機能のほかに、アロマキャンドルのように
心を満たす作用に舵を切ったことがよかった。


怒りが人を動かす
2019年OECD医療統計によると、日本の医師の数は
G7の中で最下位。OECD36か国の中で32位だった。
人口1000人当たり、2.4人である。
医療現場の医師不足は深刻なもので、長時間労働も
常態化している。
そんな中、東京医科大学女性受験生減点事件があった。
妊娠・出産・育児による産休・育休が敬遠されているとしている。
これはいわれなき性差別である。業務効率で誰でも
仕事が回せるように改善するべきである。
このような不正入試事件が大きな議論を巻き起こしたのは、
怒りである。
もっと怒っていい。怒らないから、世の中は何一つ変わらない。


感情は論理を超越する
ニューヨークのウォール街には巨大な雄牛の銅像が立っている。
ブル(雄牛)というのは金融用語で、強気で買い注文を入れる人
を表し、それにかけて、相場が上昇し続けることを願って
建てられた銅像であり、ウォール街の名所である。
2017年この銅像の向かいに、「恐れを知らぬ少女」と題した
少女像が3月8日の国際女性デーの前日にそっと設置され
大きな話題を呼んだ。
設置したのは米大手資産運用会社であり、
女性役員が多いなど、女性が活躍する企業の株式ばかりを
集めた「SHE」という新しい株式ファンドのPRの一環であったのだ。
雄牛をマッチョな男性のシンボルとし、それに対抗する少女像を
設置したのだ。
この恐れを知らぬ少女は、瞬く間に観光スポットになり
ツイッターでは46億回、インスタでは7億4500万回表示されたようだ。
もともとの雄牛像の製作者は、男性的と意図して作ったわけではないので
かなり怒っていたようだ。


姥捨て山
ある国の殿様が、年を取った者は役に立たないから捨てよという
お触れを出したが、ある家の息子は捨てきれずに匿っていた。
しばらくして、隣国から難題を持ち掛けられ、解けなければ
攻め滅ぼすと脅される。
「姿も色も大きさもすべて同じの馬をどちらが子供か親か当てよ」
「叩かなくても鳴る太鼓を持ってこい」
老人はこう答える。
「餌を一つの桶に入れて出せ。親は子供に先に食べさせる」
「太鼓の中に蜂を入れよ。蜂が飛び回ると太鼓に張った皮に
ぶつかって音が鳴る」
殿にこの回答を申し出ると、隣国は「このような知恵者がいる国には
勝てない」と攻めるのをあきらめたという。果たして、この老人の
おかげで、お触れは撤回され、老人を大切にするようになった。


占いとは統計学である
江戸時代に活躍した水野南北という観相学の大家がいる。
彼は理髪店で3年間、銭湯の下男を3年、火葬場の従業員を3年
経験し、その間にいろいろな人の「人相」「手相」を徹底的に
研究した結果、独自の観相学を確立したとされている。
岡本彰夫「神様が持たせてくれた弁当箱」を参照のこと。
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[ 2021/07/13 ] 読書感想 | TB(-) | CM(0)

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